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MARCHE DU FILM 12-23 MAI 2004
カンヌマーケット情報


ジャーナリストとは違う視点で評価される“映画”


映画祭と並行して開催されるカンヌ・マーケット、”Marche du Film”。ロサンジェルスで行われるアメリカン・フィルム・マーケット、ミラノで開催されるMIFEDと並ぶ3大映画見本市、世界中の映画関係者が集うこのカンヌマーケットに今年は全体で前年比11%アップの74カ国8382人が参加。日本からは前年比20%アップの64社、409人が参加した。今年も大小各配給会社が話題作、注目作の日本配給権を求めて熾烈の戦いを展開した。


まずは完成作品。当然オフィシャルで映画祭に出品されている作品がマーケットの目玉である。しかし現実には18本のコンペティション作品のほとんどが日本配給付きでカンヌに到着する。よってバイヤーはわずかなコンペ作品とサイドバーである「ある視点」部門や「監督週間」部門「批評家週間」部門などの新人監督デビュ−作の発掘に注目するのが慣例である。映画祭スタート前後にはまだ日本配給権が決まっていなかった話題作も次々と売れて行った。まずコンペティション部門ではワイン愛好家の監督を追ったドキュメンタリー“Mondovino”(シネカノン)、トニー・ガトリフ監督の“Exiles”(日活)、ドイツ期待の監督ハンス・ウェインガートナーの“The Edukators” (コムストック)の日本配給権が決定した。
「ある視点」部門では『ラブリー・リタ』のジェシカ・ハースナー監督の”Hotel”(アルバトロス)の日本配給先が決定、そして弊社ワイズポリシーがスコットランド期待の新星ショーナ・アーバック監督のデビュ−作“Dear Frankie” の日本配給権をミラマックスより買い取った。また「批評家週間」部門の“Brodeuses”の日本配給も決定した。
すでに完成済みでマーケット期間中に日本配給先が決まらなかった話題作としてはオリビエ・アサヤスのコンペティション作品”Clean”、またマーケット上映のみのジョン・セイルス新作”Silver City”、赤裸々な性描写で話題を集めたマイケル・ウィンターボトム新作”9 Songs”などがある。これらの作品のスクリーニングには多数のバイヤーが訪れたが、作品の市場評価と売り手の提示最低保証金額との間に開きがありすぎ、映画そのものの評価とは別に反応は今ひとつであった。


毎回マーケットで盛り上がるのはやはりプリセール(製作中の作品の販売)である。有名監督、人気スター、賞レース狙いの話題作、注目作は完成を待って日本配給が決まる事などほぼ無いに等しく、ほとんどの作品が企画段階、脚本段階、撮影中、編集中など様々な製作段階で飛ぶように売れていく。北米に続き世界映画市場第二位のシェアを誇る日本、毎回マーケットでは数限りあるホットタイトルをめぐって日本人バイヤーたちの熾烈な争いが繰り広げられるのである。


マーケットが始まってまず話題になったのが アン・ビョンギ監督の新作ホラー“Bunshinsaba” をハピネット・ピクチャーズとブエナヴェスタがシノプシス段階で300万ドルで日本配給権を買い取ったというニュース。こんな初期段階でのプリセールでこの値段は韓国映画として初らしい。さらにハピネットはキム・ギドク監督の新作”3-Iron”にも製作参加、製作費の半額を出資すると発表。


ニューライン・シネマより今夏撮影開始予定のテレンス・マリック監督、コリン・ファレル主演作“The New World” の日本配給先が松竹に決定、同社はミリアード・ピクチャーズより現在ポストプロダクションのビル・コンドン(『ゴッズ・アンド・モンスター』)の新作”Kinsey”や、名作『ラッシー』のリメイク版も買得した。レイクショア・エンターテインメントより今回マーケットデビューしたクリント・イーストウッド監督主演作“Million Dollar Baby”も脚本段階でムービーアイが日本配給権を獲得。ワイルド・バンチよりマーケット前半に発表になったレオス・カラックスの新作“Scars” も日本人バイヤーの数社の激しい争奪戦の末に、東芝エンターテインメントが日本配給権が獲得した。しかしこの作品の完成は3年後。壮大なスケールのテーマである事から、完成を危ぶむ声も聞かれた。ミリアード/パンドラからのエド・ハリス主演の“Copying Beethoven”の日本配給権が東北新社に決まった。 HBOから出された『エレファント』に続くガス・ヴァン・サントの新作でニルヴァーナとグランジロックをテーマにした“The Last Days”が脚本なしの企画書だけで(主演はマイケル・ピット)日本配給権が決定した。ハンウェイからのテリー・ギリアム監督のファンタジー新作”Tideland” がキャスト未定の脚本だけの状態で日本配給先決定。
現在ポストプロダクションで今回のマーケットでバイヤーに初めて映像を見せた話題作といえばトマス・ヴィンターベア監督、ラース・フォン・トリアー脚本、ジェイミー・ベル主演“Dear Wendy”である。6分間のプロモ上映後、セールス側のトラスト・フィルムに日本各社からオファーが殺到した。様々な憶測が飛び交った2日間の熾烈な入札戦争の末、弊社が日本配給権を獲得した。またTF1からのヴァネッサ・パラディ主演のサイファイ大作“Atomic Circus”のプロモ・プレミア上映にも多数の日本配給会社が訪れ高額なアスキング・プライスにもかかわらずすぐにGAGAが獲得。同じTF1からの怪盗ルパンをモチーフにした“Arsene Lupin” のプロモ上映もかなりヒートし、争奪戦の結果日本ヘラルド映画が希望最低補償額を大きく上回る額で獲得して話題を集めた。しかし大きく話題を集めたフランス映画はこの2作だけ。他にはオディアール監督の新作、小川洋子の原作を新人の女性監督が映画化した『薬指の標本』、フランス映画祭横浜での上映が決まっている『刺繍する女』などが買付けられた。また日本ヘラルド映画は、『くたばれハリウッド』の監督の最新作“Mr. Sunset / The Jeff Hakman Story”の日本配給権を獲得。これは伝説のサーファー。ジェフ・ハックマンの半生を追ったドキュメンタリーで、かなりクローズな情報を俊敏にキャッチして契約にこぎ着けたものと思われる。
その他の話題作で日本配給がすでに決まったのはニュー・イメージからのモーガン・フリーマン、ケヴィン・スペーシー共演のサスペンス“Edison”(日本ヘラルド)、エレメントXからのケヴィン・スペーシー監督デビュー作”Beyond the Sea”(ギャガ・コミュニーケーションズ)。またハンウェイからのウィム・ヴェンダーズ監督の新作”Land of Plenty”にもアスミックが日本の権利を獲得した。


今回のマーケットでは深く静かに潜行した感が強い。マーケットを賑わせたタイトルはほんの一握りにしか過ぎず、プリセールでも各社吟味して買付けが成されたのではないか。胡散臭い露出狂の自称カリスマバイヤーや自称カリスマ宣伝マンがなりを潜め、本質的なパイヤーたちの腕が試された年だったかもしれない。


【by Daishiro NARITA & Atsushi OKITA】


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パレとリビエラを挟むテラスがバイヤー束の間の憩いの場


カールトンの前ではデモが


カンヌ市内の写真屋


ホテルのラウンジは即席のミーティングルーム


フランス映画は低調


ヒートした韓国映画のブース
Reported by Yuko TANAKA (Cannes)

23.MAI
初の試み!審査委員団が受賞作品選定の秘密を記者会見で暴露!
LE JURY S'EST EXPLIQUE SUR SES CHOIX A LA CONFERENCE DE PRESSE

今年は授賞式が一日繰り上げられたカンヌ。その流れを受けて翌日の最終日にあたる日曜日、審査委員団が受賞作品についての説明をする記者会見を開いた。毎年、審査員のメンバーによって決められる受賞作品は、一般の観客や批評家の評価や予想を裏切ることも多いことから論争、スキャンダルを呼ぶこともしばしば。しかしこの記者会見によって、受賞理由の説明だけではなくジャーナリストからも思いきり不満をぶつけることもできるようになったのだ。

今年は政治的観点が注目されたドキュメンタリー作品『華氏9/11』(マイケル・ムーア監督)がパルム・ドールを受賞したことから、同作品の映画作品としての質について問われることは受賞時から想定されていた。しかしタランティーノ審査委員長もこれはしっかり予想していたようで、授賞式最後にTV映像に映し出されていたタランティーノ委員長からムーア監督への囁きは「政治的な理由からあなたが賞をとったのではなく、私たちがこれが最高の作品だと思ったからだということを知っておいて下さい。」というものだったことを暴露。タランティーノ委員長は「一つの作品は美しい映像を持つ必要性はない。(人々を)笑わせ、泣かせ、考えさせ、ショックを受け、感動させなければならない。『華氏9/11』の場合はそうであった」と説明。「ドキュメンタリーとTVの映像との違い」について質問したあるジャーナリストに対しては「あなたは良い作品に対して非常に狭いコンセプトを持っている」と逆に攻撃を加えるシーンも。このパルム・ドールには他の審査委員たちも同様の意見を持っており「これは半アメリカの作品ではなく、アメリカについて別の方法で語った作品」(エマニュエル・ベアール)「この作品にはドキュメンタリー以上のものを感じた。新しいフォルム、新しいジャンルを創造することを目指している」(キャサリーン・ターナー)、「映画にオマージュを捧げている」(ティルダ・スウィントン)と賛辞の言葉を送った。

さて昨年に比べて全体の質の高さが評価されていた今年のコンペティション。他にパルム・ドールへの強力な候補がいなかったわけではない。最後まで『華氏9/11』と競い合ったのはグランプリにおさまった“OLD BOY”(パク・チャンウ監督)。また批評家や観客から人気の高かった『ザ・モーターサイクル・ジャーナリー』“DIARIOS DE MOTOCICLETA”(ヴァルテル・サレス監督)や“2046”(王家衛監督)が賞からもれたことに対して、タランティーノ委員長は「19本中、ある2本(*作品名は未発表)以外が何らかの賞を受賞する可能性を持っていた」と弁明、ブノワ・プールボールドも「カンヌに選ばれたこと自体が既に勝利を勝ち得ている」と評価した。 審査方法としては4〜5作品を見た後に集まってそれぞれが作品に対しての意見を表明しながら選考を進めていったそうだが、最も激しく意見が対立したのは審査委員特別賞を受け取った“TROPICAL MALADY”(アピチャッポン・ウィーラセタクン監督)。しかし作品を気に入ったメンバーが情熱を持ってその理由を説明しながら作品を擁護し、他のメンバーを納得させたそう。逆に簡単に全員一致をみたのは脚本賞の『ルック・アット・ミー』“COMME UNE IMAGE”(アニエス・ジャウイ監督)と女優賞の“CLEAN”(オリヴィエ・アサヤス監督)のマギー・チャン。しかしタランティーノ委員長は“2046”のチャン・ツィーイーにもかなり参ってしまったそう。そして史上最年少で男優賞を受賞した柳楽優弥君の最大のライバルは『ルック・アット・ミー』のジャン=ピエール・バクリという渋いおじさんであった!

さて昨晩に受賞式に続いて上映されたのは作曲家コール・ポーターの生涯を描いた“DE-LOVERY”(アーウィン・ウィンクラー監督)。アメリカの 製作会社MGMの創設80周年にちなんだイベントとして土曜日から日曜日にうつる夜中に花火が打ち上げられ、シェリル・クロウやエルヴィス・コステロ、アラニス・モリセットらが共演するコンサートが開催された。

そして一日中コンペ作品が再上映された最終日の夜は『華氏9/11』が特別上映。ちなみ今回の受賞を受け、フランスを初めとするヨーロッパの多くの国が同作の公開日を大幅に繰り上げすることを決定。本日、日曜日の時点でまだアメリカ配給先は決まっていないが、見つけられるのは時間の問題とするのが専門家筋の見方である。

アシュレイ・ジャド

アラニス・モリセット

シャーリーズ・セロン

ケビン・クライン

ナタリー・コール


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22.MAI
速報!2004年カンヌ映画祭受賞結果
CANNES 2004 : PALMARES

第57回カンヌ映画祭の授賞式が5月22日19時30分(現地時間)に開催され、マイケル・ムーア監督のが『華氏9/11』がドキュメンタリー作品として初のパルムドールに輝いた。

クストリッツァ、王家衛、コーエン兄弟らのカンヌ常連監督に交え、初のコンペ出品監督が過半数を越すという新鮮なセレクションとなった今回の公式コンペ。マイケル・ムーア監督の『華氏9/11』が政治的な理由から最もメディアを騒がしていたが、それ以外には子供達の自然体な演技が感動を呼んだ是枝監督の『誰も知らない』や、群像劇を得意とするアニエス・ジャウイ監督のドラマティックコメディ『ルック・アット・ミー』“COMME UNE IMAGE”などが好評を得ていたものの、人気監督の作品たちは予定調和的な出来にとどまり、新しい顔ぶれの監督たちの作品は個人的なスタイルに偏向しており、他にも突出して話題を呼んだ作品が終盤までなかったことから、誰がパルム・ドールを制するのか誰も予想ができなかったのが現状であった。そこに現れたのは20日に上映された王家衛監督の“2046”。脚本の存在しないことから出演者はおろか関係者までも上映されるまでどんな作品になるのか想像がつかなかった本作だが、異常な興奮に包まれた公式上映からイチや開けた翌日にはフランスの批評家が「王家衛作品の集大成」「最高傑作」と大絶賛しデイリーで発行されていた業界紙フィルム・フランセではこぞってパルム・ドールに値する作品と評価、現地の地方紙ニース・マタンでもパルム・ドール確実と予言していた。今作が受賞リストからもれたことに関して、今後物議を醸し出すことになるのは間違いがなさそうだ。

さて今年のパルムドールを制したのはマイケル・ムーア監督は受賞の瞬間には本人も驚きを隠しきれなかったようだが、すぐにいつもの雄弁ぶりを回復。映画祭直前にアメリカでの配給先を失った監督は授賞式当日にアルバニアでも配給会社が決まったことを表明しながら、「唯一作品を見られない国がある」と皮肉をこめた言葉を交えながら作品を評価してくれた人たちへの感謝の意を表明。また今作をイラクに子供たちを兵士として送った家族たちに捧げ、またアメリカにも自身と意見を共にする人たちが多くいると付け加えた。しかしいくら審査委員長のタランティーノを始めとして審査委員団にはアメリカ人も含まれていたとしても、イラク戦争についてアメリカと対立した立場をとったフランスの映画祭で公然とアメリカ政府を批判した同作品がパルムドールを獲得し、大きなスタンディング・オーベーションを受けたことが大きな反響を産んでいくことは必至、ホワイトハウスのスポークスマンはこの受賞に関して「誰もが自分の言いたいことを言う権利を持っている。だからこそアメリカは偉大な国なのだ」と観点をすり替えた声明を発表している。

そして今年のカンヌでもう一つの特筆すべき事件は出品された3本のフランス映画が全て何らかの賞を受賞したこと。フランスでは既にその脚本の質の高さが評価されていたアニエス・ジャウイとジャン=ピエール・バクリはその才能が国際的に認められたことに。またオリヴィエ・アサヤス監督は元パートナーのマギー・チャンのために執筆した脚本で彼女が賞を手にしたことに感無量、目に涙をためていた。またトニー・ガトリフ監督は敬愛するタランティーノ監督から監督賞を与えられたことに大興奮。タランティーノ監督は作品中のあるシーンの素晴らしさに唸らされたそうで、これは相思相愛の関係のよう。

またアジア勢からは韓国、日本、タイの全ての3つの国がそれぞれ何らかの賞を受賞するという引き分けの結果に。14歳という史上最年少の男優賞を獲得した『誰も知らない』の柳楽優弥君。映画祭では前半に上映された作品は最終日に印象が薄れていくことから不利と言われているが、初日に上映された本作での彼の演技が評価されたことには大きな意味が。彼自身今までサッカーと俳優とどちらの道を選択するか悩んでいたそうだが、今回の受賞をうけて俳優として進んでいく決意をしたことをインタビューで答えていた。押井守監督の「イノセンス」は残念ながら無冠に。「攻殻機動隊」以来、世界的に評価を得ている同監督の作品は、既に実写作品「アヴァロン」が2001年に特別招待作品として上映されているが、世界最高の映画祭に公式コンペティションで選ばれたことは日本アニメ史上初。しかしその難解な哲学的観念世界が色濃く反映された内容に審査委員や観客たちは尻込み?またアピチャッポン・ウィーラセタクン監督は、タイからの初コンペ出場が初受賞に繋がったことに感激を表わしていた。

また招待上映作品では『バッドサンタ』“BAD SANTA”(テリー・ツワイゴフ監督)“FLYING DAGGERS”(チャン・イーモー監督)「キル・ビル Vol.2」(クエンティン・タランティーノ監督)などエンターティーメント溢れるな作品が映画祭に華を添え、観客たちのストレートな喜びを集めていた。

さてコンペと同時に開催され、欧米作品と第三国の作品がバランスよく混ぜ合わされており、初監督作品も多いことから新しい才能の発掘が期待される別部門。まずコンペへの登竜門「ある視点」部門。アフリカなど普段は見る機会があまりない国の作品に賞が流れたが、「リチャード・ニクソン暗殺を企てた男」(ニールス・ミュラー監督)や『軽量級』“POIDS LEGER”(ジャン=ピエール・アメリ監督)など欧米の作品にも観客から大きな拍手を集めていた。特に「リチャード・ニクソン暗殺を企てた男」で全編出ずっぱりでその確かな演技力で観客を魅了させていたオスカー俳優ショーン・ペンは、「公式コンペに入っていたら間違いなく男優賞」と騒がれるほどの素晴らしさであった。2年に引き続くディレクター交代劇に見舞われた「監督週間」部門。今年は批評家でありシネマテーク・フランセーズのプログラム編成スタッフの1人である30代前半の若いディレクターを中心として構成されたセレクション。ジャンル映画から作家主義の強い作品、そして実験的映画まであらゆるスタイルの作品がちりばめられ、フランスのプロフェッショナルからは評価を受けていたが、ちょっと同世代のフランス人的な趣味に走り過ぎていた感も。またメイン会場から一番遠いことからつい見逃しがちだだ、毎年珠玉の作品が発見することができる「批評家週間」部門では、激戦となったカメラ・ドールを受賞した『オー(私の宝物)』“OR (MON TRESOR)”(Keren Yedaya監督)と横浜フランス映画祭で上映される『刺繍する女』“BRODEUSES”(エレオノール・フォーシェ監督)の2作がグランプリを獲得した。

*受賞作品(授与者)

パルム・ドール(シャーリーズ・セロン)
『華氏9/11』“FAHRENHEIT 9/11”(マイケル・ムーア監督/アメリカ)
グランプリ(アシュレイ・ジャッド&ケビン・クライン)
“OLD BOY”(パク・チャンウ監督/韓国)
主演女優賞(ヴァンサン・カッセル)
マギー・チャン(“CLEAN”/オリヴィエ・アサヤス監督/フランス)
主演男優賞(ベアトリス・ダル)
柳楽優弥(「誰も知らない」“NOBODY KNOWS”/是枝裕和監督/日本)
監督賞(ユーセフ・シャヒーン)
『流離』“L'EXIL”(トニー・ガトリフ監督/フランス)
脚本賞(ヴィルジニー・ルドワイヤン)
『ひとつのイメージのように』“COMME UNE IMAGE”(アニエス・ジャウイ監督/フランス)
審査委員特別賞(マリオン・コティアール)
イルマ・P・ホール(“THE LADYKILLERS”/ジョエル&イーサン・コーエン監督/アメリカ)
“TROPICAL MALADY”(アピチャッポン・ウィーラセタクン監督/タイ)
カメラ・ドール(ティム・ロス&ダイアン・クルーガー)
『オー(私の宝物)』“OR (MON TRESOR)”(Keren Yedaya監督/イスラエル&フランス)*批評家週間部門
カメラ・ドール特別賞
“PASSAGES”(Yang Chao監督/中国)*ある視点部門
“KHAB E TALKH (BITTER DREAM)”(Mohsen Amiryossefi監督/イラン)*監督週間部門

最優秀短編作品賞(ジャンヌ・バリバール)
“TRAFIC”(Catalin Mitulescu監督/ルーマニア)
短編作品審査委員賞(ジャンヌ・バリバール)
“FLATLIFE”(Jonas Geirnaert監督/ベルギー)

*その他の受賞作品

ある視点賞
“MOOLAADE”(ウスマン・センベーヌ監督/セネガル)
ある視点−特別な視点賞“WHISKY”(Juan Pablo Rebella&Pablo Stoll監督/ウルグアイ)
ある視点−未来への視点賞『大地と灰』“TERRE ET CENDRE”(Atiq Rahimi監督/アフガニスタン&フランス)
批評家週間 グランプリ
『オー(私の宝物)』“OR (MON TRESOR)”(Keren Yedaya監督/イスラエル&フランス)
『刺繍する女』“BRODEUSES”(エレオノール・フォーシェ監督/フランス&ベルギー)
国際批評家連盟賞
『華氏9/11』“FAHRENHEIT 9/11”(マイケル・ムーア監督/アメリカ)*公式コンペティション
“WHISKY”(Juan Pablo Rebella&Pablo Stoll監督/ウルグアイ)*ある視点部門
『渇き』“ATASHU(THIRST/SOIF)”(Tawfik Abu Wael監督/イスラエル&パレスチナ)*批評家週間部門
シネ・フォンダシヨン受賞
“HAPPY NOW”(FREDERIKKE・ASPOCK監督/デンマーク)
世界教会審査委員賞
『ザ・モーターサイクル・ジャーナリー』“DIARIOS DE MOTOCICLETA” (ヴァルテル・サレス監督/ブラジル)
教育賞
“THE LIFE IS MIRACLE”(エミール・クストリッツァ監督/セルビア)
青少年賞
“KONTROLL”(Antal Nimrod監督/ハンガリー)
アート&エッセイ賞
“THE WOODSMAN”(ニコル・カッセル監督/アメリカ) 
フランソワ・シャレー賞
『ザ・モーターサイクル・ジャーナリー』“DIARIOS DE MOTOCICLETA”
(ヴァルテル・サレス監督/ブラジル)
アンドレス・ウッド監督(“MACHUCA”/フランス&スペイン&チリ合作)*監督週間部門 
映画監督協会 黄金の馬車賞
ナンニ・モレッティ監督
映画祭トロフィー
コン・リー
マックス・フォン・シトー


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マイケル・ムーア


ジャウイとバクリ


マギー・チャン


トニー・ガトリフ


是枝監督


オールド・ボーイ


トロピカルマロディー

21.MAI
とうとう最終日!審査委員団が地元料理を堪能!
ENFIN DERNIER JOUR! LE JURY A APPRECIE LA CUISINE TRADITIONNELLE

とうとう上映最終日となってしまった今年のカンヌ。フランス側のコンペの常連オリヴィエ・アサヤス監督、マギー・チャン主演の“CLEAN”が登場。昨日の“2046”でフラストレーションに陥ったマギー・チャンのファンには全編ほぼ出ずっぱりの本作で大満足となったのでは?彼女が演じるのはロック歌手のパートナーでジャンキーの女性。親権を奪われたものの、愛する子供と新しい生活を築くために必至に這い上がろうとする姿を熱演。共演したベアトリス・ダルやジャンヌ・バリバールも作品に深みを添えた。
また同じく上映された“THE LIFE AND DEATH OF PETER SELLERS”(ステファン・ホプキンス監督)では今年のベルリン映画祭、オスカーで主演女優賞を獲得したシャーリーズ・セロンが登場。本作ではスター俳優だったピーター・セラーズの妻役を演じている。一般の観客の反応は上々だった本作だが、一部プロフェッショナルの中には「普通過ぎる」との声も。もっとも「みんなに気にいられる」作品なんて存在しないのかもしれないんだろうけど…。
さて最終日のカンヌのは知られざる慣習がある。カンヌの市長に招待された審査委員団や世界のジャーナリストが、郷土の名物料理アイオリ(魚や野菜ににんにくとオリーブ油がたっぷり入ったマヨネーズをつけて食べるもの)を賞味するのだ。場所はカンヌの旧市街。この時、タランティーノ審査委員長がおとなしく食べていたかどうかについての情報は入っていない…

ベアトリス・ダル

ティルダ・スイントン

ベアール


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20.MAI
4年ごしで完成した“2046”は滑り込みセーフで公式上映!
APRES 4 ANS DE PRODUCTION…ENFIN 2046 A L'ECRAN!

『華氏9/11』に負けないほどの大混乱をカンヌに巻き起こしたのが、4年ごしの製作を経てお目見えとなった王家衛監督の“2046”。なんと編集作業が最後の最後まで続き、フィルムがカンヌに届いたのは公式上映2時間前!おかげで朝8時半のプレス上映、昼2時半の一般上映は全て飛んでしまい、30分遅れた公式上映はプレミアチケットに。映画祭側は同時にプレス上映が特別に設け、2会場をフィルムがリレーするという離れ業をやってのけた。さて日本人として気になるのはキムタクがどれだけ出ているか?ということ。しかしいきなり彼の日本語によるナレーションから始まり、10分もない出演シーンだったがフェイ・ウォンとのキスシーンなど印象に残る場面もあり、ほっと一安心。そして「花様年華」を彷佛させるシーンを織りまぜながら、主人公が書く小説の中の未来と現在の間を異なった複数の音楽を巧みに溶け込ませながら行き来する、監督ならではの名人芸的な映像美に満ちあふれた世界にどっぷり浸らせてくれた。しかし上映が終わり、夢から覚めたような観客の脳裏に浮かんだのは、タイトルロールに名前があったマギー・チャンが出ていないこと!このことと性急に完成させられた顛末から「実は未完成」との噂があちこちで囁かれたが、監督は翌日行われた記者会見で完全否定していた。そしてマギー自身も映画の冒頭に出ていた事を告白。あなたは彼女の存在に気付くだろうか。
さてこの騒ぎをよそに、同じくコンペで上映されたのは押井守監督のアニメーション「イノセンス」。世界で評価されている日本のアニメがカンヌに初お目見えとなって大きな話題となったが、その独特の哲学感と自身の作品の目指すものに確固たる信念を持っている監督も、上映スタート時に、そしてエンド・ロールの最後にも起った拍手の嵐には感動を抑えられないようだった。
そして「ある視点」部門ではニコラ.ドゥヴォーシェル主演の『軽量級』“POIDS LEGER”(ジャン=ピエール・アメリ監督)が上映。小さいころに両親を亡くしたことにトラウマを抱える青年が、情熱を捧げるボクシングと彼のコーチ、そして恋人との関係から成長していく姿を追った物語。観客の心に爽やかな感動を与えていた。

ウォン・カーウァイ

チャン・チェン

木村拓哉

2046

2046


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19.MAI
やっと熱くなってきたカンヌにバッドなサンタが登場!
BAD SANTA HORS DE SAISON A CANNES!

上映、記者会見、夜な夜な繰り広げられるパーティ…そろそろ映画祭参加者も疲れが最高潮に達してきた今日。こんな時は季節外れのサンタと一緒に大笑いするのが一番!招待作品として上映された『バッドサンタ』“BAD SANTA”はテリー・ツワイゴフ監督の最新作。酒と女にめっぽう弱い本業は泥棒というサンタといじめられっこの少年の交流を描いた本作は、ツワイゴフ監督らしいひねりのきいたギャグにほろっとさせるエピソードが程よくスパイスされている作品。全編ほぼ笑いっぱなしの観客たちのストレス解消度はばっちり。しかしこんなサンタを無理なく、そして信憑性もたっぷりに演じられるのはビリー・ボブ・ソートンしかいない!着くずしたあの衣装がみょーに似合っていました。さらにこの日の夜カールトンビーチで開かれた“BAS SANTA PARTY”では、初夏のカンヌに雪を降らせてしまうという驚きの演出。ゲストたちを大いに喜ばせた。
さて公式コンペに現れたのは、若さに溢れた2本のロード・ムーヴィー。まずカリスマ的革命家チェ・ゲバラの若き日をガエル・ガルシア・ベルナルが演じたヴァルテル・サレス監督の『ザ・モーターサイクル・ジャーナリー』“DIARIOS DE MOTOCICLETA”。一般観客の評価は抜群で「パルムドール!」との声も上がったが、一癖ある審査委員団の目にはどう映ったのかが気になるところ。逆にタランティーノ審査委員長を唸らせるシーンがあったというトニー・ガトリフ監督の『流離』“L'EXIL”は監督の前作「ガッジョ・ディーロ」でも主役をつとめていたロマン・デュリスと今引っ張りだこのた若手女優ルブナ・アザバルが主人公。ジプシー文化を描き続ける同監督らしく、十数人のミュージシャンとフラメンコの踊り子たちが赤絨毯の上でライブを繰り広げた。さて今日になって、タランティーノ監督がマイケル・ムーア監督の『華氏9/11』の観賞にジョギングパンツで来たことが判明。まったく自然体というか自分らしさを失わない今年の審査委員長である…

ビリー・ボブ・ソートン

バットサンタパーティ

チャン・チー

ガエル


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18.MAI
またまた対照的な2作が激突のコンペ。その横でゴダール監督はマイペース…
DEUX FILMS OPPOSES EN CONPETITION, ET UN GODARD COMME D'HAB

コーエン兄弟の“THE LADYKILLERS”が上映になった今日、なんと主演のトム・ハンクスは驚いたことにカンヌに初登場だということが判明。意外や意外、でもこんなこともあるもんだな…。さすが華やかなアメリカ映画だけに訪れたスターたちはオマー・シャリフ、ロジャー・ムーアらの渋いベテラン俳優たちからトップ・モデルのナオミ・キャンベルまで。この多彩というかごちゃまぜぶりもカンヌの楽しみの一つ。この作品とは正反対にその難解さというか訳のわからなさで批評がまっぷたつに別れたのがタイのアピチャッポン・ウィーラセタクン監督の“TROPICAL MALADY”。建築の勉強をした後、実験映画製作を通ってフィクションの世界に入った同監督の持つ映像世界は本当に独特。上映後にはブーイングに見舞われてしまったが、こういう他の人には真似のできないスタイルを持った監督には、その道を貫いて欲しいとちょっと願ったりして。
さて監督週間ではダミアン・オドゥール監督が自ら出演も果たしている、これまた実験的な作品『洪水を待ちながら』“EN ATTENDANT LE DELUGE”が上映に。主人公の死に行く没落貴族が浴衣を着ていたり、彼に呼ばれて集まった劇団員たちがお経のようなものを唸ったり、と実はオドゥール監督は日本文化好き?しかしヒロインのアンナ・ムグナリスはさすがシャネルのイメージモデルらしく、どんなマイナーな作品でもその中で必ずシャネルの服を着ている。それを嫌味に感じさせないところは彼女の魅力のおかげなんだろうけど…。
そして今年は招待作品として『私たちの音楽』“NOTRE MUSIQUE”とやってきたジャン=リュック・ゴダール監督。68年のカンヌ映画祭中止の張本人の1人であった監督は、今回の上映にあたり組合代表者に長いスピーチの場を与えていた。さすがは元政治闘志。ちなみカールトンホテルの従業員はやっと仕事を再開しました。

ダリル&ナオミ

アンナ・ムグラリス


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17.MAI
ショーン・ペンの神憑かり的な演技力に圧倒!「リチャード・ニクソン暗殺を企てた男」が公式上映
BRAVO! SEAN PENN! LA PROJECTION OFFICEIL DE L'ASSASINAT DE RICHARD NIXON

映画祭も折り返し地点に入った月曜日、ある視点部門に出品されたニールス・ミュラー監督の「リチャード・ニクソン暗殺を企てた男」が公式上映された。「タクシードライバー」を彷佛させるような1970年台のアメリカ社会の歪みが生み出した主人公サムが破滅的な決断へ向かっていく過程を、心を洗うような音楽の旋律とモノローグを絡めて描いた今作。この主人公が持つ狂気と清澄さという相反するようで実は隣り合わせな部分は、特別なもののようでいても、実は誰しもが自分の中に見い出すことができるもの。前半ではアイロニーのこもった笑いをさりげなく配置しながらサムが追い詰められた状況をアメリカ社会のひとつの鏡として提示しながら、次第にとりかえしのつかない運命の流れにとらわれていく1人の男性の姿を見るものの心に痛いほど食い込ませていく展開は圧巻。この新人とは思えない監督の力量とショーン・ペンの息をのむ熱演と完成度の高さに、ラストでは会場内に見えない緊張感がはりつめるほどの観客が引き込まれ、上映後はスタンディング・オーヴェーションに包まれた。さて普段はメディアに対して警戒心の強いショーン・ペン。しかしカンヌではこの作品が持つメッセージと自身の政治的オピニオンの繋がりと重要性を意識してか、記者会見でもちょっとしたユーモアを加えながらも真摯に質問に答え、また舞台挨拶でも少し照れながらも世界のトップ俳優への熱い拍手を一身に集めていた。上映会場にはエイドリアン・ブロディ、リュック・ベッソン、デビッド・キャラダイン、ナオミ・キャンベル、ハビエル・バルデムらも駆け付けていた。
さて隣のメイン会場では、政治的理由から今回もっともメディアの注目を集めているマイケル・ムーア監督の『華氏9/11』が登場。ブッシュ大統領を「主人公」にしたこの作品、イラクでの拷問事件や秋の大統領選挙を前にした好タイミングに世界最高の映画祭でワールド・プレミア。人気が集まり過ぎてプレス向け試写や公式記者会見に入れないジャーナリストたちが大量に発生し、マーケット向け上映や一般向け上映にまでも人が溢れ出す状態になってしまった。さらにムーア監督は固い仕事で有名なイギリスのアタッシェ・ド・プレスをいきなり解雇、ロスの会社に乗り換えるというおまけまでつけてくれて、カンヌ中をパニックを陥らせてしまった。赤絨毯の上で同行した奥様に熱いキスを交わしていた当のムーア監督は20分以上続いた御満悦のようだったが…さてこの作品の上映にはミック・ジャガーと一緒にEC諸国の外務大臣20人が集合というちょっと変わったメンバーも招待されていた。

ハビエル・バルデム

ナオミ&ベッソン

ニクソン正式上映



エイドリアン・ブロディ

歓喜に沸いた正式上映


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16.MAI
女性監督にスポットライト、しかしタランテフィーノも負けてはおらず…
DEUX REALISATRICES CONTRE TRANTINO

全ての部門を見通しても女性監督の作品が多く選ばれたことに気付かさせる今年のカンヌ。今日の公式コンペティションには初登場となる二人の女性監督の作品が並んだ。まず日本でも長編第一作「ムッシュー・カステラの恋」が公開されているアニエス・ジャウイの『ルック・アット・ミー』“COMME UNE IMAGE”。女優でもある彼女はパートナーの俳優ジャン=ピエール・バクリとのコラボレーションしながらアラン・レネ監督作品の脚本などで評価を得て、群像劇は大の得意。今作ではジョジアーヌ・バラスコの娘でちょっぴり太めのマリルー・ベリーが女優デビューを果たしている。そして“LA NINA SANTA”のルクレチア・マルテルはアルゼンチン出身。経済的困難から映画製作にも支障をきたしている国にも関わらず、前作“LA CIENAGA”はフランス、今作はイタリアとスペインとヨーロッパとの共同製作で作品を作り続けている。しかしそのスタイルは作家性が強すぎるとの懸念も。コンペ出場者として一皮むけた成長が今後に期待したいところ。
さて今日の赤絨毯を最もにぎわしたのは審査委員長タランティーノ率いる「キル・ビル2」軍団。彼のディーヴァであるユア・サーマンとの再会にすっかりデレデレの様子。そして上映前には自ら観客に携帯電話の電源を切ることを頼んでテンションは最高にアップ。スタッフや俳優たちに感謝の意を表わした時には、特に二人の人物を強調。それはなんとユア・サーマンの両親。なぜなら彼らがいなければ「キル・ビル」は生まれなかったからだとか…。いい加減、ソフィア・コッポラが焼きもちをやかなければいいんだけど… 。さてちょっとびっくりしたのは、カトリーヌ・ドヌーブ様までが上映会場に姿を表わしてしまっていたこと。まさか次はタランティーノに出演希望の手紙を出すつもりでは?

ティム

ティム&ティルダ

ペネロペ・クルス

クエンティン&ユマ


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15.MAI
アニメにバイオレンスにゾンビ…今日のセレクションはちょっと違う!
ANIMATION, VIOLENCE, ZOMBIE… UNE AUTRE TENDANCE A CANNES

今日の目玉をかっさらってしまったのは、やっぱり「シュレク2」。日本からも藤原紀香が登場することで大きな話題を呼んだが、キャメロン・ディアズ、マイク・マイヤーズ、アントニオ・バンデラス、エディー・マーフィーらアメリカ代表をはじめとして、なんと7カ国の声優たちが大集合するというアニメ作品とは思えないド派手な公式上映となったのだ。よってフランス側も負けてはいられない!リュック・ベッソン、クロード・ルルーシュ、サミュエル・ル・ビアン、ヴィルジニー・ルドワイヤン、ザブー・ブライトマン、アラン・シャバらが我も!といわんばかりに赤絨毯をにぎわせた。さて同じくコンペティション作品として上映されたのは韓国映画“OLD BOY”(パク・チャンウ監督)。前評判では特に何も出てきてはいなかったものの、日本のコミックの映画化というヴァイオレンス満載の「アジア」なジャンル映画にタランティーノ監督が無関心でいられる訳はない。これが今年のダークホースになる可能性はかなり高そう。さらにザック・スナイダー監督のゾンビ映画“DAWN OF THE DEAD”も深夜に特別上映されて、今日のカンヌのセレクションは堅苦しさは全くなし?
さて2日後に話題作『華氏9/11』が上映されるマイケル・ムーアもカンヌ入り。いきなり興行組合のデモに参加して、フランスのアンチ・グローバリゼーションの代表者と親交を深めていた。ちなみに週末を利用してフランス中から集結した500人が参加したこのデモ。機動隊が出動する大騒ぎとなてしまいな映画祭と同時開催されているマーケットの上映が4本も飛ばされ、三人の負傷者が出てしまいました…カールトンの従業員もスト4日目に突入です…。

藤原紀香

キャメロン・ディアス


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14.MAI
期待重し!有名監督でいるのは大変!
LA CRITIQUE DURE POUR UN CINEASTE

カンヌの常連中の常連、エミール・クストリッツァ監督が待望の新作“THE LIFE IS MIRACLE”を引っさげて再登場。85年の「パパは出張中」、95年の「アンダーグランド」と2回もパルムドールをとっているだけに今作にも期待がかけられたが、蓋を開けてみると手堅い評価を得ながらも、「いつもと一緒」「今までの作品よりも劣っている」と厳しい意見もビシバシ。こんなことならもう一年待って10年めのジンクスにかけてみたほうがよかった?さてお隣の会場で開催されている「ある視点」部門ではブノワ・ジャコ監督の『すぐに』“A TOUT DE SUITE”が上映に。作品ごとにスタイルが変わる多才なジャコ監督が今回選んだのは手持ちカメラで迫った白黒映像。監督の青年時代である70年代を舞台に、銀行強盗を犯した恋人と逃避行をする若い娘の姿を彼女の独白形式で描いた物語。監督自身が「最も私的な作品」というだけに、主演には大のお気に入り、イジルド・ル・ベスコを起用している。
さてカンヌには作品の上映には関係なく、新作のプロモーションだけのためにやってくるスターも一杯。アンジェリーナ・ジョリーもその中の1人でドリームワークス製作のアニメショーン「Shark Tale」のプロモーションのために赤絨毯を登った。しかし「バッドサンタ」のためにカンヌに入るビリー・ボブ・ソートンとのニアミスを心配するのは大きなお世話?
さてフランス興行界で働く人たちの抗議活動については以前にお話したが、今度は何と高級ホテル、カールトンの従業員が賃金アップを求めてのストを始めてしまっていたことが発覚。フランスの鉄道SNCFも12日夜から今日の朝まで暫定ストをしていたし…。フランスの組合の人たちはカンヌ映画祭の知名度とメディアの力をよく御存じのようで…


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アンジェリーナ・ジョリー

13.MAI
カンヌの空の下、日本映画が2本登場
DEUX FILMS JAPONAIS SOUS LE SOLEIL DE CANNES

上映初日から日本人ジャーナリストたちは大忙し。是枝裕和監督の「誰も知らない」が公式コンペで、石井克人監督の「茶の味」が監督週間の開幕で上映されたからだ。まずカンヌでは既に2001年に「ディスタンス」が選ばれている是枝監督だが、今回は出演している4人の子供たちとその保護者たちを引率しての現地入り。15年前に実際に起った事件を元に監督があたためて続けてきた題材を実現した今作は母親に置き去りにされた、父親の違う子供達の姿を追った物語。涙を誘うラストは世界共通の感動を与えたようで、公式上映では5分間にわたるスタンディング・オーベイションが響き渡った。また監督週間で上映された「茶の味」はホームドラマ的と思いきや、突然突飛な特殊効果が現れたりと、どんどん「変」になっていく展開の物語。賞取りとは関係がなく、一般の観客もチケット購入が可能なセクションだけに、不条理さも何のその、肩をはらずに楽しめる作品でのオープニングとなった。
さて招待上映ではいきなり「トロイ」が登場。奥様連れのブラッド・ピット、オルランド・ブルーム、パートナーのギヨーム・カネと仲良く現れたダイアン・クルーガーら出演者組はもちろん、フランス勢からも女優のナターシャ・レニエ、プロデューサーのトマ・ラングマン、デザイナーのアニエス・ベーまでが赤絨毯を登った。しかし最も注目を浴びたのは化粧品メーカーのロレアルのプロモーションで登場したレティシア・カスタ。彼女の愛くるしさに勝るものは何もなし!?しかし彼女はこの直前にパリ発の飛行機に30分も遅刻するという「事件」も巻き起こしていた!
さてパパラッチやスター目当ての観光客たちの見張る中、これらのスターたちが宿泊した人気ホテルはメイン会場から遠く離れたアンティーヴにあるエデン・ロック。ブラッド・ピットから「シュレク2」組のアントニオ・バンデラス、キャメロン・ディアズ&ジャスティン・ティンバーレークらの滞在が確認されたが、最も高いバンガローを予約したのはエディ・マーフィーで、一晩につき4000ユーロ也。

レティシア・カスタ

ピット&アニストン


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12.MAI
2004年カンヌ映画祭スタート!
CANNES 2004 : C'EST PARTI!

寒い!カンヌに着いてまずびっくりさせられたのはその天気の悪さと寒さ。青い空と海という南仏の気候が売り物のカンヌにとってこれは大きな打撃では?これから23日まで繰り広げられる熱き日々との体力勝負のために世界各国から集まった人たちは、この予想外の寒さにいきなり風邪をひかなければよいのだけれど。そして開催直前まで映画祭阻止の強硬介入が心配されていた興行界で働く人たちの保障制度の改革に反対するデモ参加者とは、映画祭側が彼らに発言の場を設けることで和解が成立。しかしカンヌ市街でのデモは昨日からスタートしていた。そんなこんなで何となくいつもと違う雰囲気が漂っているような気がするのは気のせい?
そんな空気は、開幕上映に選ばれた『バッド・エデュケーション』のペドロ・アルモドバル監督と主演を飾った新しいラテン・ラヴァーのガエル・ガルシア・ベルナルや監督が引き連れてきたお気に入りラテン女優たちが吹き飛ばせてくれる!という期待も大外れ。今作は児童に対する性虐待とそのトラウマを扱った重いテーマの作品であることに加え、開幕宣言では3月11日にマドリッドで起った同時テロの犠牲者に対する哀悼の意が捧げられ、厳粛なムードが会場を包んだ。それでは初日の赤絨毯を騒がせ、映画祭開幕に最も彩りを加えてくれたのは誰かと言うと、審査委員長タランティーノ当人。かねてから親密デートが目撃されていたソフィア・コッポラと仲良く手をつないで登場。しかも同じホテルに泊まっているというから、この噂を本人たちが公認したのも同然。やはり審査委員のメンバーで今もっとも輝いているフランス女優エマニュエル・ベアールも目をみはるような大柄の花柄プリントのドレスで注目を集めていた。そして2年前に「戦場のピアニスト」で主演男優賞を獲得したエイドリアン・ブロディもカンヌ入り。しかも数日前にニース−カンヌ間をスピードの出し過ぎで御用されるというスキャンダルをお土産に…。
さて明日から上映が始まる公式コンペティション作品だが、ぎりぎり、開幕式数時間前になって招待作品であったドキュメンタリー“MONDOVINO”(ジョナサン・ノシター監督)が仲間入り。18本プラス1本、計19本で熱い火花が散らさせることになった。


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クエンティン&ソフィア