毎週月曜日、ニューヨーク特派員からアメリカ映画のとっておき情報をお届けしています。


24 MARCH 2008

ウディ・アレン、久しぶりにニューヨークで新作撮影開始
毎年必ず1本映画を撮る事で知られるウディ・アレン、現在日本公開中の『タロットカード殺人事件』(ワイズポリシー配給)の後にもすでに完成済み待機作が2本控えている。そんな疲れ知らずのアレンが、先週新たな作品の撮影を開始した。例によってこのタイトル未定の新作の詳細は(アレンは事前に新作の内容を発表したり、脚本を公開することは絶対にない)ほとんど不明だが、キャスティングとその人物関係だけは判明した。新作の主演はエヴァン・レイチェル・ウッド(ダウン・イン・ザ・バレー、ミッシングなどに出演、マリリン・マンソンの彼女として最近ゴシップを賑わせている)で、彼女の親子程の年齢差がある恋の相手にラリー・デイヴィッド(米コメディ俳優)、母親が彼女のためにセットアップする同年代の恋の相手にヘンリー・カヴィル(米テレビシリーズ “Tudor”出演の人気急上昇中のイギリス俳優)。そして注目すべきは、ここ数年ロンドンとスペインで映画を撮って来たアレンにとって今回の新作は2004年の『メリンダとメリンダ』以来のニューヨーク舞台となるのだ。撮影は現在マンハッタン郊外のクイーンズ地区で進んでいる。

SEX AND THE CITYのクリエーターがNY舞台の新シリーズを製作
5月に映画版が全米公開される『SEX and the CITY』は、ご存知1998年から2004年にかけて米有料ケーブルチャンネルHBOで放映されたテレビシリーズ。今や全世界で放映されている、この大ヒットシリーズをクリエイトしたダーレン・スターが、再びHBOでニューヨークの女性を主人公にした新シリーズ “Diary of a Manhattan Call Girl”の製作を開始する模様。これは、ニューヨーク在住の元コールガールで作家に転身したトレイシー・クワンの自叙伝『マンハッタン・コールガールの日記』を原作としたもので、そのままタイトル通り、マンハッタンの高級コールガールのグループの生活をコミカルに描くアンサンブルコメディである。シリーズのクリエーター/プロデューサーのスターは、初回パイロット版の監督も兼任する。この秋の番組改編期に放映スタート出来るよう、パイロット版撮影準備が急ピッチで進んでいる。現在キャスティング中。

最もセクシーじゃない女優論争、ヌード写真流出、これも映画宣伝戦略?
映画版『SEX and the CITY』に関するニュースをもうひとつ。5月30日全米公開を前に(その直前にカンヌ映画祭でプレミアとの噂も)、この映画の主要キャストであるサラ・ジェシカ・パーカーとクリスティン・デイヴィスの「ゴシップ」が先週「偶然にも」同時にメディアを賑わせた。まずは、パーカーが米雑誌 “Maxim”で男性読者による「最もセクシーではない女性」の第一位に選ばれ、これに対するパーカーの反論が大きな話題となった。が、しかし、この “Maxim”誌に投票結果発表が載ったのは昨年10月号で、その時は少し話題になった。なぜ、パーカーは今になってこの件を持ち出しているのか? そしてデイヴィス、彼女の「元恋人」が93年交際時のデイヴィスのヌード写真をインターネットに流出、セックスビデオもあるとかないとか。デイヴィスの広報は、ヌード写真は別人としているが、例え別人としても93年の写真って、それって『SEX~』テレビ版放映よりも前・・・何故テレビ版が大ヒットしてデイヴィスの知名度が上がった当時ではなくて、映画公開前の、しかもパーカーの件と同じ週にメディアを騒がせるのだろうか?公開前に異常なくらいのメディア露出を続ける、この大注目作の、これもフリーパブリシティーを目論んだ宣伝戦略の一環?

オーランド・ブルームがジョニー・トーの新作に出演
ロネ・シェルフィグ(幸せになるためのイタリア語講座)監督の “An Education”に出演予定だったオーランド・ブルームが、撮影開始後に突然降板して話題となったが、どうやらブルームは現在撮影準備中のジョニー・トー監督の新作 “The Red Circle”に主演する事になり、彼のスケジュールのダブルブッキングが降板の理由のようだ。トーの “The Red Circle”はカンフーアクション映画であること以外詳細ははっきりとしていないが、トーがアジア人以外の俳優でハリウッドスターを起用する事自体が珍しい。ちなみにシェルフィグの “An Education”で急遽ブルームの代役に抜擢されたのは、この夏の超話題作『マンマ・ミーア!』にも出演している期待の新人ドミニク・クーパー。

アートハウス系映画:イースター週末興行成績 3月21〜23日
復活祭イースター週末にアメリカ公開されたアート系映画で、特に目立ったスタートを切ったのは、ワインスタインカンパニー配給/フォックスサーチライトピクチャーズ宣伝による “Under the Same Moon”、僅か266スクリーンの限定公開ながらボックスオフィス10位に初登場した。週末3日間興収は260万2000ドル、アベレージ9781ドル、ホリデー週末を見越して先週水曜から先行公開されていた本作の累計興収は332万9000ドル。昨年サンダンス映画祭でデビューした “Under~”は、ロスで不法移民として働く母を探しに行くメキシコ人少年の物語。米で生活する存在するスペイン語圏ヒスパニック系移民を客層の主要ターゲットに宣伝したのが大成功したようだ。その他の新作で好スタートを切ったのは、エレファントアイ配給による ブレイクダンスのドキュメンタリー “Planet B-Boy”がNY/LAの2スクリーンで公開、興収2万8300ドル、アベレージ1万4150ドル。IFCフィルムズはクリストフ・オノレ監督の仏ミュージカル “Love Songs”をNY/LAの2スクリーンでスタート、週末興収2万1100ドル、アベレージ1万950ドル。またNY単館公開となったオリヴィエ・アサヤス監督の “Boarding Gate”(マグノリアピクチャーズ配給)の週末興行成績は1万1400ドルだった。



17 MARCH 2008

NY, I LOVE YOU 撮影開始
パリを舞台に、世界各国の有名監督たちの短編を集めたオムニバス『パリ、ジュテーム』、その第2弾で同じコンセプトで今度はニューヨークが舞台となる “New York, I Love You”の撮影がスタートしている。先週、ブルックリンのコニーアイランドで撮影が行われたのは、なんとスカーレット・ヨハンソン‘監督’によるショートフィルム。ヨハンソンがこのプロジェクトに参加すると発表された時は、同じく参加が噂されたウディ・アレン監督による短編映画に、『マッチポイント』、現在日本公開中の『タロットカード殺人事件』、この秋米公開の “Vicky Cristina Barcelona”に続いて4本目の出演と思われていたが、実はヨハンソン自身の監督デビュー作だったのだ。(ちなみにアレンはこのプロジェクトへの参加の噂を否定している)ヨハンソン監督によるタイトル未定の5分の短編はケヴィン・ベーコンが主演という以外、ヨハンソンも出演するのかどうかもまだ明らかではない。そしてヨハンソン監督作と同時に、マンハッタンのイーストヴィレッジ、ブルックリン橋など各スポットで撮影が行われたのが、ミーラー・ナーイル(モンスーン・ウェディング)監督によるこのプロジェクト参加のショートフィルム “Kosher Vegetarian”。主演はナタリー・ポートマン、共演はイルファン・カーン(ナーイルの『その名にちなんで』出演。この他”New York, I Love You”には、アンソニー・ミンゲラ、ブレット・ラトナー、ヒューズ兄弟、イヴァン・アタル他が参加予定。

米アートハウス映画:週末興行成績 3月14〜16日
この週末に限定公開がスタートした主なアートハウス系映画は2本。先ずは、オーストリア人ミヒャエル・ハネケ監督の英語映画デビュー作で自身の97年作『ファニーゲーム』を自らリメイクした “Funny Games”。ナオミ・ワッツ、ティム・ロス、マイケル・ピット出演のこのリメイク作は、ワーナーインディペンデントピクチャーズ配給で全米289スクリーンで公開となったが、週末3日間興収52万ドル、館アベレージ1799ドルというかなり厳しいスタートとなった。もう一本の新作は、シャーリーズ・セロン主演 で1月のサンダンス映画祭でプレミア上映された“Sleepwalking”。オーヴァーチュアフィルムズ配給で30スクリーンで公開開始となったが、週末興収は僅か5万ドル、アベレージ1666ドルと、セロンの知名度も殆ど効果のない残念なスタートとなった。
対して、公開2週目を迎えた、デヴィッド・ゴードン・グリーン監督/ケイト・ベッキンセール、サム・ロックウェル主演 “Snow Angels”(ワーナーインディペンデントピクチャーズ配給)は、依然3スクリーンのみの限定公開で週末興収26000ドル、アベレージ8666ドルと健闘し累計は45500ドル。IFCフィルムズ配給によるガス・ヴァン・サント監督『パラノイド・パーク』は、公開2週目で22スクリーンに拡大、週末興収81100ドル、館アベ3686ドル。



10 MARCH 2008

「今年の女性スター」はアン・ハサウェイ
この秋、ワイズポリシー配給により日本公開予定の “Becoming Jane”主演アン・ハサウェイが、3月10日から13日に米ラスヴェガスで開催される全米映画興行協会主催の映画コンベンション「ショーウェスト」のおいて、‘今年の女性スター’として称えられることになった。『プリティ・プリンセス』でスクリーンデビューしてから、『ブロークバック・マウンテン』、『プラダを着た悪魔』 、そして“Becoming Jane”と、コメディからドラマ、伝記ものまで幅広い演技を見せ、今まさに旬の女優として完全にブレークした感のあるハサウェイは、先月のヴァニティフェア誌にも「今ホットな女優」としてフィーチャーされたばかりだ。

コッポラ新作にヴィンセント・ギャロ主演
今月末よりブエノスアイレスで撮影開始となる、フランシス・フォード・コッポラ監督新作”Tetro”の主演が、当初予定されていたマット・ディロンからヴィンセント・ギャロに変更となった。ディロンはつい先月も50年代シカゴの音楽界を描く “Cadillac Records”の主演を降板(エイドリアン・ブロディが代役)したばかりだ。また、ギャロもダリオ・アルジェント監督のホラー新作に主演予定だったが、アルジェントが娘のアーシア・アルジェントをキャスティング、彼女との共演が嫌だからという理由で降板したばかりだ。コッポラの “Tetro”は、ライバル心と復讐で疎遠になった兄弟を描くドラマ。共演にはハビエル・バルデムが決定している。

再びカート・コバーンのドキュメンタリーが製作される
98年の『カート&コートニー』、昨年の『カート・コバーン・アバウト・ア・サン』(それに05年のガス・ヴァン・サント『ラストデイズ』もある)その他にもテレビ用ドキュメンタリーや非公認ものなど、ニルヴァーナのカート・コバーン関連の映画は多々あるが、そのコバーンのドキュメンタリーが再び作られるという。監督は『くたばれ!ハリウッド』のブレット・モーゲン。『くたばれ〜』と同様に、モーゲンはアニメーション、ヴィデオ、フィルムが融合される「ミックスメディア」ドキュメンタリースタイルを取るらしく、コバーン個人やバンドのアーカイブ映像はもちろんの事、コバーンが製作したという幻のストップモーションアニメーションも使用する予定だと言う。コバーンの死後、ニルヴァーナの音楽を含めコバーン関連の著作権をコントロールしている未亡人のコートニー・ラブが、モーゲンのドキュメンタリーの製作総指揮をつとめることから、コバーンの貴重映像使用が可能になったばかりでなく、今回のドキュメンタリーが初のカート・コバーン「公認」映画となる。

アートハウス映画 週末興行成績 3/7~9
この週末、単館もしくは限定公開がスタートした主なアート系映画は5本。中でも、IFCフィルムズ配給によるガス・ヴァン・サント監督新作『パラノイド・パーク』は、NY/LAの2スクリーンで公開され、週末3日間の興行成績見積もりが3万700ドル、館アベ1万350ドルの好スタートを切った。対照的に、同じくNY/LAの2スクリーンのみでスタートした、ワーナーインディペンデントピクチャーズ配給による、デヴィッド・ゴードン・グリーン監督/ケイト・ベッキンセール主演の “Snow Angels”は、1万4000ドルの興収見積もりで、館アベは7000ドルだった。フォーカスフィーチャーズは、バハラット・ナルリーリ監督(ダウンタイム)/フランセス・マクドーマンド主演による “Miss Pettigrew Lives for a Day”を535スクリーンで公開、254万1000ドルの興収で平均4749ドルとまずまずのスタート。ソニーピクチャーズクラシックスは、イラ・サックス監督/ピアース・ブロスナン主演の “Married Life”を9スクリーンで公開開始したが、週末興収3万6400ドル、館平均4044ドルと期待を下回るスタート、さらにソニークラシックスは同日にチャウ・シンチー監督/主演新作『ミラクル7号』を19スクリーンでスタートしたが、こちらは興収4万1100ドル、平均2163ドルとかなり厳しい結果となった。しかし同社配給による『ヒトラーの贋札』は、アカデミー外国語映画賞受賞を受けて興収を上げており、公開3週目41スクリーンで、週末興収30万5000ドル、館アベ7439ドル、累計興収70万5000ドル。